ダイエットって糖質と脂質、どちらを制限した方が良いの?それぞれのメリットやデメリットも知りたい!
そんなお悩みにお答えします!
この記事で分かること
- 糖質制限と脂質制限のやり方
- 糖質制限と脂質制限のメリット・デメリット
- 糖質制限と脂質制限の向き不向き
商品の宣伝で「糖質オフ!」「脂質の吸収を抑える!!」といったフレーズを目にすることが多くなってきました。
糖質や脂質の摂り過ぎが肥満を招いてしまう…というのは周知の事実ですが、ダイエットする際はどちらを制限した方が効果的なのか気になりますよね!
そこでこの記事では、糖質制限と脂質制限のメリット、デメリットやどちらが向いているかの診断、糖質制限ダイエットと脂質制限ダイエットのやり方をご紹介していきます。ぜひ、最後までご覧ください。
筆者は元看護師です。
前職では生活習慣病を抱える患者さんに栄養指導をしてきました。また、私自身も70kg→55kgと−15kgのダイエット経験があります。
ダイエットは知識がない状態で闇雲に行うととても大変ですよね。私と一緒に学んで、効率的にダイエットを進めていきましょう!
糖質制限ダイエットについて
糖質制限は、その名の通り「糖質」の摂取を抑えること。糖質とは?糖質制限ダイエットのやり方とは?詳しくご紹介していきます。
糖質とは?
糖質とは、炭水化物から食物繊維を除いたもの。ご飯やパンなど含まれるでんぷん、果物に含まれる果糖、砂糖に含まれるショ糖などのことを指します。
糖質制限ダイエットとは?
糖質制限ダイエットは、糖質が多く含まれているご飯やパン、めん類といった炭水化物を中心に制限する方法です。白米を玄米に置き換えたり、麺の量を減らして野菜でかさ増しするなど工夫しながら、糖質の摂取を制限します。
まず、1日に摂るべき糖質は何gがいいのでしょうか?
厚生労働省は、糖質を含む炭水化物から摂取するカロリーは、1日の総摂取カロリーの50〜65%が望ましいとしています(注1)。活動量の少ない成人の場合、男性が2,000〜2,400kcal、女性は1,400〜2,000kcalが目安です(注2)。この例で炭水化物からの摂取カロリーを50%にしたい場合、男性は1,000〜1,200kcal、女性は700〜1,000kcalのカロリーを炭水化物から摂取することになります。
糖質のエネルギー量は1g=4Kcalなので、1日に摂るべき糖質量の目安は、男性だと250g~300g、女性だと175g〜250gということになりますね。
糖質制限は、1日の糖質量を通常摂取量の半分、合計70〜130gに抑えようというダイエットになります。1度に多く摂らずに、3食に分けて20~40gずつ摂るようにします。
糖質があまりにも少ないと日常生活に支障をきたすので、最低でも70g以上は摂取する必要があります。
注1)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
注2)農林水産省「食事バランスガイド早分かり」
糖質制限ダイエットのメリット・デメリット
糖質制限のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリットとデメリットをまとめた表が以下の通りです!
メリット | デメリット |
---|---|
・比較的早く体重が減る ・むくみが少なくなる ・インスリンの分泌量が抑えられる ・取り組みやすい | ・低血糖症状の出現 ・リバウンドしやすい |
糖質制限ダイエットのメリット
①ダイエット初期から体重が減りやすい
糖質制限は、糖質を摂る量を制限する分、脂肪がエネルギーとして消費されやすいので痩せるのも早いです。ダイエット初期から体重が減り、結果が目に見えて分かることでモチベーションを高く保ち、さらに良い結果につながる好循環を生むことができます。
②むくみが少なくなる
糖質制限することで、体内のグリコーゲンが減少します。
グリコーゲンは水分と結びついていることから、それが少なくなることで体内の余分な水分量が減り、むくみがすっきりします。結果的に体重も減ることにつながるわけです。
③インスリンの分泌量が抑えられる
糖質制限すると、血糖値の上昇が少なくなり、インスリンの分泌量が減ります。
インスリンは血中のブドウ糖の量を一定に保つ働きのほかに、脂肪を蓄積する役割もあります。そのため、インスリンの働きが穏やかになると、脂肪がつきにくくなる、というわけです。
④糖質を減らすだけなので、取り組みやすい
糖質制限ダイエットでやることは、糖質が多く含まれる食品の食べる量を減らすだけ!カロリー計算などのわずらわしさもなく気軽に実行できます。炭水化物を野菜に置き換えるなどして、食べる量を極端に減らさなくてもよいこともメリットと挙げられます。
糖質制限ダイエットのデメリット
①低血糖症状の出現
過度な糖質制限を行なった場合には、低血糖症状と呼ばれる、体調不良が現れる可能性があります。主な症状は以下の通りです。
- 自律神経症状:冷や汗、動悸、手や指のふるえ、強い空腹感、脈が速くなる
- 中枢神経症状:強い脱力感や疲労感、眠気(生あくび)、めまい、集中力の低下、頭痛
- 大脳機能低下:意識がもうろうとする、異常行動、意識がなくなる、深い昏睡
これらの体調不良が現れた場合、速やかに糖質の摂取量を通常に戻す必要があります。糖質を極端に減らすことは身体に負荷をかけることになりますので、体調をみながら徐々に減らすことをおすすめします。
また、糖質制限をすると食物繊維の摂取量が減ってしまうことも多いです。また体内の水分量も減ることから、便秘になってしまうこともあります。糖質制限をする際は、食物繊維と水分を意識して摂る必要があると言えるでしょう。
②リバウンドしやすい
糖質制限によって摂取エネルギーが少なめの状態に慣れた身体は、基礎代謝を抑えるため、リバウンドのリスクが高まります。また、体内の糖質が不足すると、筋肉を分解してエネルギーに変換するため、筋肉量が減ってしまいます。筋肉量が減ると代謝が下がるため、さらにリバウンドのリスクを高めてしまいます。
対策としては、日常的に軽めの運動を習慣化することが筋肉量の低下を抑えること。また、糖質は、1日数回に分けて摂ることで血糖値を一定に保つことで、筋肉量の減少を抑えることができます。
糖質制限ダイエットが向いている人
では、糖質制限の向いている人はどういったタイプでしょうか?メリットやデメリットを踏まえてご紹介していきます。
糖質制限ダイエットが向いている人
- 食べる量を減らしたくない
- 運動する時間があまりない
- 短期間で痩せたい
①食べる量をあまり減らしたくない
糖質制限はカロリーの総量よりも、内容を重視するので食べる量はそこまで減らす必要はありません。また、糖質制限だと食べられる食材が脂質制限よりも多いので、食事のケアにあまり気を使わなくてもいいのも糖質制限の魅力です。つまり、食べる量を減らさずにダイエットしたい方に向いている方法と言えますね。
②運動する時間があまりない
脂質は糖質に比べるとエネルギー代謝によって消費されやすい特性があります。 逆に、糖質は活動量がある程度高くないと消費されません。 つまり、運動習慣がないと消費するのが難しいのです。
このことから、運動習慣がない方、運動する時間が作れない方は糖質制限がおすすめというわけです。
③短期間で痩せたい
糖質制限ダイエットは短期間で減量の効果が出やすいと言われています。その理由はメリットの項でもあげた「水分が抜けること」。
糖質を制限すると肝臓や筋肉に蓄えられているグリコーゲンが減少します。そのグリコーゲンと結びついている水分も失われるため、体重が早く落ちるわけです。糖質制限をスタートしてから最初の1〜2週間で多くの水分が抜けると言われています。
また、水分が抜けることに伴い、見た目の変化も起こります。部分的あるいは全体的にむくみがとれて、顔がスッキリしたり、胴回りがスリムになったりするためです。
結婚式などのイベントで着たい服がある、写真撮影があるなどの短期間で効果を得たい場合には、糖質制限はおすすめできる方法と言えますね。
脂質制限ダイエットについて
脂質制限ダイエットとは、「脂質」の摂取を抑えること。脂質とは何か?脂質制限ダイエットのやり方とは?詳しくご紹介していきます。
脂質とは?
脂質は1gあたり約9kcalとタンパク質や糖質の約2倍のエネルギーをつくり出す、効率のよいエネルギー源です。ホルモンや細胞膜、核膜を構成したり、皮下脂肪として、臓器を保護するなどの働きがあります。また、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)の吸収を促すなど、重要な役割を担っています。
脂質制限ダイエットとは?
脂質制限ダイエットは、脂質を多く含まれている食べ物、また油を使った調理方法である揚げ物や炒め物などの脂っこい食品を制限する方法です。脂質制限ダイエットとはカロリーが多い脂質を制限するダイエット法であり、「カロリー制限」と言い換えられます。脂質はカロリーが高いため、脂質を減らす食事作りに気を付けるだけで、摂取カロリーを大きく減らすことができるというわけです。
厚生労働省は、脂質の摂取カロリーは、1日の総摂取カロリーの20〜30%が望ましいとしています(注1)。活動量の少ない成人の場合、男性が2,000〜2,400kcal、女性は1,400〜2,000kcalが目安です(注2)。この例で炭水化物からの摂取カロリーを20〜30%にしたい場合、男性は400〜480kcal、女性は280〜400kcalのカロリーを脂質から摂取することになります。
脂質のエネルギー量は1g=9Kcalなので、1日に摂るべき脂質量の目安は、男性だと約44g~53g、女性だと約31g〜44gということになりますね。
脂質制限中は、1日の総摂取カロリーの20%以下に抑えるのが理想です。つまり男性であれば44g、女性であれば31g以下を目安にすると良いでしょう。
注1)厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
注2)農林水産省「食事バランスガイド早分かり」
脂質制限ダイエットのメリット・デメリット
続いて、脂質制限のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット | デメリット |
---|---|
・摂取カロリーをカットしやすい ・筋肉量を維持しやすい ・リバウンドしにくい | ・お腹が空く ・体重の減りが緩やか ・外食が難しい ・ホルモンバランスが崩れることがある |
脂質制限ダイエットのメリット
①摂取カロリーをカットしやすい
脂質制限の最大のメリットは、カロリーカットがしやすい点です。ダイエットで重要なカロリーコントロールの観点から見ても、1gあたりのカロリー量が9gと高い脂質をカットするのは合理的な方法と言えます。ダイエット前に摂取する脂質量が多ければ多いほど、その効果を実感できるでしょう。
②筋肉量を維持しやすい
筋トレをする際に、糖質はカラダを動かすエネルギーと筋肉をつくるエネルギーになります。糖質を大幅にカットすると筋トレの際のエネルギーが少なくなるため、結果的にボディメイクの妨げになってしまうのです。
③リバウンドしにくい
脂質制限は筋肉量を維持しやすい、というメリットは前述の通り。そして筋肉量が減りにくいため、基礎代謝も維持することができ、結果的にリバウンドしづらい身体を手に入れることができるのも大きなメリットです。
脂質制限ダイエットのデメリット
①お腹が空く
脂質は消化に時間がかかるため、適度な脂質は腹持ちをよくさせてくれます。脂質を制限しすぎることで、空腹を感じやすくなり、ストレスに感じる方もいるでしょう。
②体重の減りが緩やか
脂質制限は、糖質制限に比べて体重の減りが緩やかです。糖質制限は糖質をほとんど取らないので脂肪がエネルギーとして消費されやすいので痩せるのも早いですが、一方、脂質制限は摂取した糖質が優先的にエネルギー源になり、脂質は使われにくいため痩せるのが遅くなります。ダイエット初期から体重が減らないので、モチベーションが上がりにくいのがデメリットです。
③外食が難しい
糖質制限ダイエットでは定食のごはんを抜くなど炭水化物を省くだけで良いので、外食も問題なく行えます。一方、脂質制限ダイエットでが外食の際に脂質が少ない料理は少ないため、メニュー選びが困難になるでしょう。
④ホルモンバランスが乱れやすい
脂質を制限すると脂質の働きであるホルモンの生成がされにくくなります。男性ではテストステロンの生成が弱まることで集中力の低下や精力の減退、また女性でもホルモンバランスが崩れることで、肌や髪の乾燥、イライラする、便秘が続く、頭痛が続く・・・などの健康に影響が出てきます。 さらに、骨密度の低下や生理不順など病気に至るケースもあります。
脂質制限ダイエットが向いている人
脂質制限ダイエットの向いている人はどういったタイプでしょうか?メリットやデメリットを踏まえてご紹介していきます。
脂質制限ダイエットが向いている人
- 筋肉を減らさずに痩せたい
- 「空腹感」に耐えられる
- できるだけお金をかけたくない
①筋肉を減らさずに痩せたい
筋肉量を維持しながらダイエットしたい人にとっては、糖質制限より脂質制限がおすすめ。筋トレをする際に、糖質はカラダを動かすエネルギーと筋肉をつくるエネルギーになるためです。ダイエットだけでなく、ボディメイクも同時に行いたい方は脂質制限を優先しましょう。
②「空腹感」に耐えられる
脂質は腹持ちが良いので、制限すると「空腹感」は強くなります。また、カロリーを気にすると食事の量自体も少なくなるため、糖質制限よりも我慢することになるかもしれません。それに耐えられる方であれば脂質制限はおすすめです。
③できるだけお金をかけたくない
一般的に主食よりもおかずの方がお金はかかります。糖質制限は主食が減る分、おかずは増えるので、お金はかかりがちです。一方、脂質制限はおかずが増えることはないので脂質制限に比べると経済的だと言えますね!
ダイエット開始前の必須アイテム
糖質制限と脂質制限を始める際の必須アイテムは、キッチンスケールです。どの食材をどれくらい食べたのか把握するのは、ダイエットの成功に欠かせません。慣れてきたら、見るだけで大体の重量が分かるようになりますが、最初はしっかり計測しましょう。
持っていない方は、これを機に用意してみませんか?
まとめ
糖質制限と脂質制限はそれぞれ一長一短あり、どちらか一方が優れているというものではありません。前提として、糖質も脂質も人間にとっては大事な栄養素であり、欠かすことはできないものです。
糖質制限、脂質制限のどちらを選んだとしても、全くのゼロにするのではなく「減らす」だけです。「制限」ではなく「調整」という意識を持って、体重コントロールを行いましょう!
糖質制限 | 脂質制限 | |
制限するもの | ご飯、パンなど炭水化物等 | 脂っこい食事全般 |
食べる量 | そこまで減らさなくても良い | ある程度制限する必要がある |
調理法 | とくに制限はない | 揚げ物、炒め物は控えた方がいい |
痩せやすさ | 比較的短期間で痩せる | 比較的じっくり痩せる |
起こりうるデメリット | 頭痛、便秘等 | ホルモンバランスの乱れ等 |
ダイエットは自分の体調と向き合いながら行なってください。
無理はせず、ゆっくり進めていきましょう。